ハワイ州弁護士 栗原幸花
September 13, 2024
今回の記事では、M&AなどによりE-2登録会社の法人組織再編があった場合の、米国移民局(USCIS)および大使館・領事館での手続き方法について取り上げます。
一般的にE-2登録会社で就労される際には、E-2ビザ申請時に承認された会社にて承認された就労内容に従事することが許可されます。アメリカ大使館・領事館にて会社登録がなされておらず、移民局にてE-2ステータスが承認されている場合は、その承認時に許可された組織構成そして職務内容にて就労が許可されます。基本的に、米国内でE-2ステータスを維持するためには、E-2登録会社の組織構成やその他E-2保持者の雇用条件に変更がないことが前提となっています。よって、E-2登録会社にて「実質的な変更」が生じる場合、事前に移民局の承認を得る必要があります。移民局は、実質的な変更を、E-2保持者の基本的な特徴や資格に影響を及ぼすような根本的な変更と定義しています。例として、M&A、E-2保持者が属している事業部門の事業売買など、E-2登録会社とE-2保持者や投資家間の関係に変更があるようなイベントが挙げられます。
M&Aの代表的なものとして「法人買収」「事業買収」および「吸収合併」があります。E-2登録会社であるターゲット会社をまるごと100%買い取る「法人買収」や、ターゲット会社が保有する全て、または一部の資産を買い取る「事業買収」、そしてターゲット会社と他の会社が合併し、ひとつの会社の法人格のみを残して、E-2登録会社の法人格を消滅させる「吸収合併」の場合、実質的な変更が生じると考えて良いでしょう。このような実質的な変更があり、ターゲット会社の買収後もE-2保持者の雇用を継続させたい場合は、移民局にフォームI-129 請願書を提出し、組織再編の通知を行う必要があります。
ターゲット法人ごとを買い取る法人買収の場合、移民局にI-129 請願書を提出する際、E-2投資家またはE-2保持者が継続してE-2の資格を保有することを示すエビデンスを提出し、E-2ステータスの延長承認をもらうことになります。組織内の変更が「実質的な変更」であるかどうか不明な場合は、その変更が実質的であるとみなされるかどうかを移民局に判断してもらうようアドバイスを求めることもできます。アドバイスを求めるには、どのような変更があったのかの詳細な説明および変更に関する書類を添えて、移民局にフォームI-129 請願書を提出します。それらを移民局に判断してもらい、その後は移民局のアドバイスに従って手続きを踏むことになります。例えば、吸収合併によりE-2登録会社が存続会社となる場合は、実質的な変更でないこともあります。ただし合併により存続会社の資本構成に大幅な変更があったり、E-2保持者が属する事業部門に変更が生じる場合は、実質的な変更とみなされる可能性がありますので移民局よりアドバイスを求めるべきでしょう。更に、法人に複数のE-2保持者を含む場合、法人再編により個別の請願書を提出する必要があるかどうか、もしくは一つのフォームI-129 請願書で提出できるかどうかを移民局に判断してもらうよう、アドバイスを要求することもできます。
【後編に続く】
September 2024
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